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アクセルの意気地記 第5話

私の恋人の、あ、いや、私の娘のこと子は、この世にやってきて先日で10ヶ月を生き抜いたことになった。めでたい。

半年くらいからずり這いという匍匐前進で動き始め、今ではハイハイ、つかまり立ちとあっという間に進化してしまった。

フェイスブックとか、友人の情報交換とかだったりがとても役に立って、子供服なんかはホントに大量にいただくことができて大変助かった。が、その中で男の子モノなのか迷彩柄のものが混ざっていて、ピーと整理している時にそれを見た私は、「さすがにそれは…」と言って、次の人に回すコーナーに入れてもらった。例の安保法制が強行採決された時、レフトウィングな私は非常に憤り国会前のデモなんかにも参加していた。結局、法案は通ってしまったのでこれからの自衛隊のあり方は変わってくるかもしれないし、将来我が子に赤紙が来ることも100%否定はできない。みんな油断するな。

無関心の国民が多数なのは知っていたけど、こんなご時世だから我が子が迷彩柄の服を来て匍匐前進、というかずり這いをして近づいて来たらいくら親バカでも流石に私は嫌だ。そんな姿は冗談でも見たくない。安倍や石破がコスプレして楽しんでいればよい。そんな訳でくださった方には申し訳ないけど、お姫様、あ、いや、女の子だしその迷彩柄はスルーしました。

子供服なんてこれまで何の興味もなかったのに、我が子の着てる子供服を見ていると段々子供服自体に愛着が湧いてきたりして、ミッフィーとかキティーとかプーさんとか、やつらの凄さ、可愛さが私のハートを揺さぶるようになった。沢山貰い物して充分なのに、ピーはビーキッズという近所の子供古着屋でなにかにつけて新たに服を買い集めた。安いし、私も子供服キュンが分かるようになってきてしまったので、ある程度許容してたら子供服の量が凄いことになってきた。

ずり這いやらハイハイやらで、私を見つけたこと子がニコっと痛快な笑顔を見せたかと思うと奇声を発して凄い速さで近づいてくるようになった。「そのうちハイハイで近づいて来るようになるんだもんね〜、ヤバいよねぇ…」などと期待を膨らませていたのも束の間、現実に目の前のこと子が走って、いや、這いずって近づいてくる…。こんなに可愛くていいのか、こんなに幸せでいいのか、私は親になった喜びを噛み締めた。

離乳食もいつの間にか始まって、こと子はまだ歯が生えないのに食欲旺盛で、おいおいそんなに食えるのかよ、と突っ込みたくなるほど貪る時もある。いつの間にか離乳食が始まったと思ったらいつの間にか固形の野菜や米を、歯ぐきだけでガツガツ食べるようになってしまった。バナナやサツマイモは大好物で我々が千切ってる間にも口を大きく広げて身を乗り出してきて恐ろしい。一時期はティッシュをむしって食べるのが流行って、結局食べ物ではないと分かったのか、気づいた私が口の中に手を突っ込むとよだれと咀嚼で圧縮されたティッシュの固まりが取り出されるのだった。

つかまり立ち、というのにも段階があって初めはつかまり立つこと自体が大変なので、両手でちゃぶ台を必死に掴み、お尻を突き出したまま、身体はくの字なりでプルプル震えてる。そしてすぐに脚の筋肉が堪え切れなくなってそのままの姿勢で泣き出す。つかまり立ったはいいけど、今度は座れなくなってしまうのだ。その度に、ハイハイ、と言ってこと子を座らせてあげる。

でもそんな期間もすぐ終わり、くの字なりだった姿勢もピンと背筋が伸びてきて、途端に人間めいた立姿になっている。両手でプルプルだったのも片手で涼しい顔をし始めた。ぎこちないがそこから座れるようにもなって成長著しい。

しかし、このつかまり立ちに余裕が出てきてからは、片手でちゃぶ台を抑え、空いた片手でちゃぶ台の上を荒らし始めるので私達の食事がさあ大変。生まれたばかりの時もなかなか大変だったが、今度はまた別次元の大変さだ。並べたオカズやゴハンをこと子がつかまり立ちしたところから遠くにやる。私達は遠くのオカズを取ったりしながら食べるのだが、ちゃぶ台がそもそも小さいので限度があり、最終的にはちゃぶ台から畳にオカズの皿を下ろしたりして、結局ちゃぶ台で食べてる風情、というか意味がなくなってくるから面白い。ちゃぶ台に向かっているのにちゃぶ台を使わずに畳に直に置いた料理を結果的に食べている。

つかまり立ちを覚えてからはちゃぶ台に限らず何でも掴まって立とうとする。座っていれば膝に掴まってもたれかかってくるし、寝ているピーはよくこと子によじ登られている。そのまま2人で寝ていることもよくある。愛らしい姿だ。最近では立っている私の足に掴まって立っている。私が洗い物に集中していてアプローチを無視してると泣き出す。

言葉はというとまだまだ難しい。とはいえこと子はよく喋っている。初めは、「アー」「アオー」「ンコッ」という感じだったが気づけば「アンマァ」とか「マンマァ」とか言ってじゃみるようになって可愛い。その他日本語で表記できそうもない音声を発して、機嫌のいい時は1人でずっと喋っている。真似すると喜ぶ。

そしてオヤジの私を認識しているのがはっきりしてきてからは、アイコンタクトなんかもしている。こと子が笑うと大変可愛いので私もニヤニヤ見つめ返す。最近は見つめ返すだけで楽しそうにしてくれるので私は堪らない。そして私は笑顔が増えた。ありがたいことだ。

私やピーがよく笑うからなのか、それはどうかよく分からないけどこと子は沢山笑ってくれる。友達があやしてくれる時もいつも楽しそうに愛想を振りまいている。街でも電車でも、特におばちゃんとかおばあちゃんとか、お姉さんとか女性にすぐに反応して笑顔を振りまくので、そこで恐ろしい浮き世の方々と、にこやかな交流が生まれて私は新鮮な気持ちになる。そして私はこと子のおかげで社交性のスキルがあがっている。ありがたいことだ。しかしあまり愛想がよいとそのうち誘拐されてしまわないか、知らない人についていってしまわないか今から心配でもある。

ピーさんが雑事や授乳で疲れ果てたりすると私は時々ピーの周りでじゃみること子を捕まえて持ち上げる。そのまま抱っこで家を出て近所の六星会の住宅地をグルグル歩き回る。ぐずっていても外に連れ出してみると泣き止むことが多く、そして歩いてると高い確率で寝てくれるからだ。

体重は8キロを超えて抱っこは抱っこでシンドいのだが、私は仕事中ずっとこと子と会えないからなのか、ただ触れ合う温かさが気持ちいいのか、とにかくこと子が好きだからなのか、もうよく分からないけどとにかく抱っこするのが好きだ。抱っこしてすぐに、ああ、重いなぁ、と弱音が喉元にやってくるのだが抱っこが好きなのだ。こと子を抱えて家を出て上手く寝かしつけることができた時は鼻高々な気持ちで、自分を褒めてやりたくなる。どうだ、凄いだろうと家に帰るとピーは疲労で寝てるので自慢する相手がいない。そして私はそおっと寝ついたこと子を床に着地させる。そおっとそおっとやる。これがまた難しいのだ。上手く寝てくれたのに数分後にまた、ギャァと泣いて目覚めることもある。そうなったらまた一からやり直しである。
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