fc2ブログ

アクセルの育児記 第31話 2児の父親になる

こと子4歳、ふみ0歳、ついに私は姉妹の父親になってしまった。

ふみなどはまだ4ヶ月である。産まれて間もない赤ん坊というものを、父親である男性があやすのが如何に難しいか…。そんなことを、こと子が赤ん坊の時にすっかり味わっていた私が、泣くことと乳を飲むこと以外何もできないふみが一心に泣きじゃくるのを、ああそうだ、こんな感じだった…、と少し余裕を持って抱いていることに気づいた時、「2人目は1人目の時より楽よね」というママ達の言葉をじんわり思い出すのである。

オシメに異常がなくて、おっぱいをしっかり飲んでいて、それでもいやだいやだと泣く時、母親が抱っこしてあげてもそれでもなお力の限りを振り絞って泣き止まない時(私はそれを地獄泣きと呼ぶ)、そんな時は父親の出番なのである。

特に夜寝る前にふみはよく泣くのだが、ピーさんがあやし疲れると小さなホワホワの塊りが私に託されるのである。抱っこといっても、首が座ると縦抱きの方が安定するのだが、横でむずかると縦に抱き、縦に抱きながら身体を揺らす。身体を揺らすと赤子は安定しやすいらしい。それでも大概泣き止まない。泣き疲れて寝てしまうこともあるが、なかなかシンドい。

縦に抱っこできるくらいになると、小さなホワホワの塊りだった赤子はいつの間にかズシっとしてくる。右手で子の重心を支えていても、すぐに辛くなってくるので左手に持ち代える。身体を揺らしても拉致があかなくて家中を歩き回ったりする。こと子の時は家が今より狭かったので、泣きじゃくる赤子を抱えて外に出て、近所中を歩き回っていたことなども思い出す。そんなことを思い出すと、あの試練もそれほど長く続いたのではなかったことも同時に思い出していささか気分が和らぐ。振り返ればあっという間に過ぎてしまうのだから。

こと子の時は私もピーも初めての育児なので、育児分担も試行錯誤でよく衝突したのだった。私はフォローアップしてるつもりでも、母親のストレスの度合いを察知するのは難しい。それで、これだけ頑張ってるのにい、とムキになってしまった。そんなことも2人目となると反省材料になっているし、オムツ替えやらの雑務も身体が覚えているので衝突は俄然減ったと思うのだ(それでも喧嘩するのだ、人間だから…)。

赤子は何かと手がかかって大変な訳だが、この後成長と共に笑い出し、ハイハイでヨチヨチ迫ってくる、そのうちに歩き出す、1年もすれば話始める…。こと子の育児で判明した子育ての楽しみや甲斐を知っているのだから、大変なことも大した労働だと思えなくなる。やはり2人目は違うのである。

さて、赤ん坊はともかく大変なのであるが、4歳のこと子が大変ではないかというとそんなことでもないようだ。何かと、気がつけば私もピーも、ああもう何やってんのダメでしょ、とこと子を叱っているのである。触れ合う子どもたちから覚えたり、アニメの影響だったり、口が達者になってくると、これして、あれして、と親が指導するのにいろいろな言い訳をして容易に従わない。親の反応を試すように要求を無視する。ただ叱り倒すだけではダメなのも経験的に分かってきてピーさんも私もいろいろのアプローチを駆使するが、まだまだ思うようにいかぬことは多い。深く考えず、時が通り過ぎるのを待つように私は接している。

小川町という埼玉の片田舎に越してきて、仕事も辞めてしまった私は、8月は1ヶ月まるまる夏休みだった。有給休暇が残っていたので心にも余裕があり、東京の友人を代わる代わる家に招いて川に行ったりBBQをしたりふんだんに遊んでいた。

仕事を思い切って辞めてしまったのには、このタイミングで時間ができれば、乳児のふみの面倒を私も見ることができてカミさんも助かるだろう、という目算もあった。都内までの通勤を前提に引越したものの、片道2時間では早朝に出て早く帰っても8時か9時。この先この態勢で姉妹の育児をしていくのでは母親の負担が半端じゃない。そんなことを想像して私は転職を決意し、転職先は小川町近辺で、というテーマを自分に課したのであった。

前職の会社がブラックであったこともピーさんとは共有して理解してもらっていたが、育児のことをかように考えての転職であることを話すと彼女は反対しなかった。不安がないわけではないが、そういう訳で8月はたまに友人を交えて2人の育児をしていた。

子を育てる、または面倒を見るのに、1人より2人、2人より大勢、というように多くの人が絡むと負担は減るし、育児の面白さも際立ったり、他人と共有できたりしてそれはそれで素晴らしい体験である。それにいろんな大人に囲まれて育ってほしい、という気持ちも私にはある。言葉遣いがある程度達者になって、生意気に思えることがしはしば出てきたこと子も、いろんな人と遊んでいる姿を見るとまた違う側面での可愛らしさが見えてきたりする。

本当なら保育園か幼稚園に行かせてやって、お友達と沢山遊んだ方が本人にとっても楽しいはずだし、ピーがふみの面倒みるのにも集中できる。しかし引越してから、こちらの自治体に2度途中入園の申込みをしたが叶わなかったので、現状こと子は家育児となったのだ。

そういうところへ8月はいろんな友人が入れ替わり遊びに来てくれてこと子とふみを愛でてくれた。人懐っこいこと子は誰が来てもすぐに仲良くなってしまうのには感心する。そして彼らが帰る別れ際に、きっと、「また来てね!」とか「また遊ぼうね!」と大きな声で呼びかける。私はこと子のそういうところが好きだ。

子育てには苦楽両翼があると書いてきたが、ふみが産まれてからはこと子がふみのことを、4歳の女の子なりに可愛がっていて、やはりそんな光景を見ていると私もジンと来てしまう。私がふみをあやして抱っこしているところへこと子が後ろからそんな私達を抱きしめて団子のようになったりする時、私の幸福度は1つの完成形をみるのである。
スポンサーサイト



プロフィール

アクセル長尾

Author:アクセル長尾
赤い疑惑の活動報告
およびアクセルの手記
赤い疑惑WEB

最新記事
カテゴリー+月別アーカイブ
 
リンク