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人間滅亡的人生案内

人間滅亡的人生案内

深沢七郎の名前を初めて耳にしたのは確か
三上寛さんのライブMCでだったと思う。
三上さんが、とくにかく私が敬愛している作家だと紹介していた気がする。
で、その時にその深沢氏がギタリストであることにも触れていた気がする。
その時はちょっと気になっただけで、
すぐに調べたりせずそのうち忘れてしまっていた。

でその後、オレは「フカザワシチロウ」という響きだけ頭の中にあったので、
何かの書物やネット上などで「深沢七郎」という文字面を何回か見たのだろう、
オレは段々とその人物の正体が気になり始めていた。
それである日古本屋で「盆栽老人とその周辺」という作品をみつけた。
否、みつけてしまったのだ。何なんだろうこのすっとぼけたタイトルは。
これが盆栽とのオレの出会い、もとい、深沢七郎との出会いとなった。
この物語の世界観に一気に持っていかれてしまったオレは、
その後も深沢七郎の人となりやプロフィールなりを調べ、
調べているうちに完全に虜になってしまった。

このおじさんは実は有名な人で
あの乳母捨て山の話「楢山節考」の作者である。
だけどもともと作家になりたいと思っていたわけではなかったらしい深沢氏は、
それを機に世間が自分を人気作家としてもてはやすことに
心から嫌気を感じていたらしい。
ギタリストだったりラブミー農場という農園をやったり、
かと思うと東京で今川焼屋をやったりして世間を煙に巻いた。
さらには皇族に関する際どい文章の掲載で右翼に狙われたり
(この事件で関係者一人が命を落とし深沢氏は放浪生活に入った)
とにかく突飛な話題に事欠かない。

人気作家とはいえ超人気作家ではなかったのだろう、
作品もほとんど絶版で古本屋でも高値がついていたりする。
で、この「人間滅亡的人生案内」は未読だったのだけど、
以前オレが深沢七郎をオススメしたミスターの家に遊び行ったら、
ちゃっかりあったのですぐに借りたのだ。
内容は20歳前後の多感な若者が深沢七郎に人生の悩みを相談し、
それに深沢七郎がアドバイスするというもの。
昔ある雑誌で掲載されていたコーナーを編集したものらしい。

ミスターは「庶民列伝(これも深沢氏の名著)」に比べて、
「あんまりだった」そうで、なんでも深沢氏の若者に対する
アドバイスが「あまりにテキトーすぎる」とのこと。
だけど読んでみたオレはまたまたそのテキトー過ぎる深沢節に
ぶっとばされ、いちいち共感しつつ改めてフカザワールドに引きこまれる。
テキトー加減が洒落なのか本気なのか、
そこはよくわからないけどオレは真からその匙加減に心酔する。

はっきりいって模範的な人間には理解不能かもしれない。
実際この人の考え方は偏っているかもしれないけど、
偏ってしまっているのはいったいどっちなの、
と僕は世間を見てしまう。
それは僕の大好きな殿山泰司や高田渡の表現にも通底している。
はっきりいってそういうアウトサイダー達にオレは勇気をもらって生きている。
今現在の自分がどうしてここにいるのか、
どうしてこういうことをやっているのか、
それにはやっぱりそういった先駆者の
大きな遺産を吸収したからに違いない。
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