ソウルフード

これはオレが毎日おにぎりの具として詰めているソウルフードだ。
ここ1、2年そのおにぎり習慣が続いている。
これが米に包まれ、でこれを包み込んだ米に塩が振られ、
最終的に海苔で巻かれることになるのである。
オレの昼弁当はこのおにぎり(大きめ)と
おかずを詰めた小さなタッパーが最近の定番なのだ。
ソウルフードというと、
「これが私のソウルフードよ」と言って肉を貪る南米の女性を思う。
ソウルフードとはなんともいい言葉である。
和製英語だろうか、いつ頃使われるようになったのだろう。
オレはその言葉の響きが気に入って、
自分のソウルフードは何だろうと真剣に考えていたが、
その時はうまい見当にぶつからなかった。
それからそのことは忘れて過ごしているうちに、
このふりかけが昼の弁当の定番になっていた。
そしてこのふりかけと米(玄米ならなおよし)の組み合わせを
食べるとオレは元気になる感じが確実にあった。
今でもそうなのであるからこのふりかけは
オレのソウルフードと呼んでも差し支えないのでなかろうか。
出汁をとった後の昆布と鰹節の使い道に悩んでいた。
それと同時期に煮大豆がこんなにも旨いものなのか、
という驚きを感じたのが重なった。
そして当時オレの家の冷凍庫にはじゃこのパックが
大抵二袋くらいは常備されていたのだ。
当時同棲してた恋人の田舎から定期的に送られてくるものだった。
それで佃煮を作ってみようと思って醤油と味醂で煮詰めたら
これができた。砂糖も適当に加えて、テラテラさせるのだ。
そしてテラテラしてるところに大好きなゴマを振りかけて
フライパンを煽ってできあがりだ。
このオレのソウルフードは見た目が粗末だし、
子供は絶対に好きにならないであろう味わいだ。
しかし味の方は少なくともオレにとって完璧で
当時の恋人もいつもこれを弁当の米の上に隙間なく詰めていたので、
味の方には遜色ないはずなのだ。
そして毎日食べても飽きるようなモンでもないのだ。
オレはこのふりかけを詰めたタッパーの残りが少なくなってくると、
何だかすごく不安な気持ちにさせられ、
そして遂になくなってしまうとすぐに仕込みにとりかかるのだ。
こまめに出汁をとった後の昆布やかつお節を包丁で細かくして
普段から冷凍しておいたりするのだが、
常備したそれらがない時は特に予定もないのに
わざわざこのふりかけを作る為に出汁をとる、
といったような本末顛倒な行動に憑かれていたりするのだ。
ところでオレは毎日会社に弁当を持っていくのだが、
これは朝起きるのと同じように毎日欠かさない習慣なのだ。
今までオレは職場をコロコロと変えて苦労してきたが、
新しい職場での初日━━昼休憩を同僚に
気兼ねしなければならない初日以外、
9割9分の割合でこの弁当の習慣は守られているのであり
周りの男子でこんなマメなことしているヤツは1人として知らない。
まあそんな会話もしないから分からないけど、
とにかく今までどんな職場でも
「偉いよねー」とか言って感心されてた。
言われる度に、(いや、これは偉いとか偉くない
という問題では決してないのであって、
単純にコンビニ弁当や外食より
自前弁当の方が確実に満足できるし、
それよりなによりただの貧乏性なのだが)
と思って苦笑を禁じえないのであった。
弁当持ってくるオンナは多いけど
愛妻弁当じゃない弁当を持ってくるオトコは少ないようだ。
世のオトコ達よ自前弁当で薄給を乗り越えよう。
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